At the end of the day . . . .

Non-Permanent Forum on Indigenous Issues in Japan

アイヌ民族への日本文化人類学会の謝罪

 1年前の今日、このブログを開き、1本だけ投稿を書いて、それを下書きに納め、世情に書く気を喪失させられて、その後何も書かずにちょうど1年が過ぎた。

 何年か前の4月1日に、当時の高橋はるみ北海道知事がアイヌ民族に謝罪を考えているとして、謝罪文がここはてなブログに投稿されたことがあった。もちろん、それはエイプリルフールだった。

 北海道新聞が他社と競ってのことか、珍しくこんな時間に第1報を出している。これはエイプリルフールではない。
www.hokkaido-np.co.jp

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 一夜明けて紙面で確認すると、1面の見出しは「謝罪へ」である。記者(および編集部)は、声明文を詳細に検討して書いたわけではなく、「珍しくこんな時間に」(午前1:00)と書いたように、ただ他社に先駆けての一番乗り、「スクープ」狙いの感じが強い。
 記事は1面で「アイヌ民族遺骨の不適切な取り扱い」に力点を置いているが、社会面(29ページ)の記事本文でも「謝罪」を遺骨問題に絡めている。文化人類学会(もしくはその関係者)が、この記事の遺骨に関する内容について事実誤認と抗議してもおかしくはないだろう。

 私たち読者が知りたいのは、「文化」人類学会が何に対して謝罪するのか、具体的には同学会員の「研究」のどういうところが「『極めて不十分であった』」のかである。「不十分」なだけであったのか、「不適切にもほどがある」というような研究は無かったのか。(因みに、4段目のこの段落の「意志」は「意思」でなくてよいのだろうか?)
 たぶん北海道新聞は、後日この件について特集を組むでろう――と誘導しておこう。

 それとは別に、この際、北海道新聞をはじめ、メディア各社は「過去の[報道]姿勢を改めて総括する必要」を感じていないのだろうか。

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 40分ほど前(19:50)に続報が出ているが、この時間だと、この記事は紙面には載らないのか?載るとすれば、明日の朝刊だろうか。今は、これだけしか分からない。
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 日本文化人類学会は、「報道機関などに声明文を郵送」!声明文を送っただけ?? 会長がどこかで記者会見して謝罪したのではないの?
 「現時点で取材に応じておらず」ということは、元の記事は結局(at the end of the day)、リークに基いて書かれただけだったのか。
 「近く報道関係者向けに説明の場を設ける方針」ということも、なんだかふざけた感じだ。30日と31日に一部のアイヌに説明したそうではあるが、大多数のアイヌを蔑ろにしているのでは?
 詰まるところ、文化人類学会は、ホームページで公表し、一部のアイヌ関係者に事前説明をし、「報道機関など」に郵送しただけなのね。

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 今5日の23:59。今日の終わりに、詰まるところの話を書こうと思ったけれど、もう0時を回ってしまった。
 学会の声明は、5日の夕刻にホームページに掲載された。それまで紆余曲折があったようだ。「学会声明」の内容は、月末に配布されたものと同じようである。北海道新聞web版が23:15と23:41に配信している。
 考古学会と自然人類学、特に後者がどう出るのかということもあるだろうけど、この謝罪文そのものも批判的検討から免れることはできないだろう。
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