At the end of the day . . . .

Non-Permanent Forum on Indigenous Issues in Japan

アイヌ民族への日本文化人類学会の謝罪声明(2)

 4月1日の投稿に書き続けてきたが、編集画面の操作に未だ慣れていないため、新規投稿で続きを書くことにした。

 この度の日本文化人類学会の「謝罪声明」は、出し方も内容も拙かった。4月1日午前1時の北海道新聞の「スクープ」がその日の朝刊に出た後かどうかは不明だが、同学会は翌2日の早朝までに学会ホームページで以下のように釈明していた。

一部報道では、アイヌ関係団体のみなさまに向けて本学会が学会声名の説明会を去る3月末日に開いたことが報じられています。説明会の開催は事実ですが、学会の意図とは異なり、このたび発出予定の声明が、4学協会で目下協議中の案件に直接関わる内容であるかのように報じている報道機関もあります。そのため、近くメディア関係者向けに説明の場を設け、正確な情報伝達をさせていただく予定でおります。(下線は追加。)
www.jasca.org

上の貼り込みから繋がる日本文化人類学会のホームページではどの投稿を開いても、URLは同じである。上の引用は5日の夜までに削除されたようで、現在は存在していない。都合よく消されている。

 時系列的に「一部報道」の中に北海道新聞以外のどの報道機関が含まれていたのかは分からないし、それをわざわざ確認するのも時間の無駄だが、テレビ局のHTBHBCもニュースで1日に「遺骨問題」を強調してニュースにしていたようである。
日本文化人類学会が「過去の研究姿勢をあらためて真摯に反省」とアイヌ民族へ謝罪 - YouTube
日本文化人類学会 アイヌ民族の遺骨の取り扱いめぐり“謝罪の声明”発表へ 「他の学会や政府の動きにも波及してほしい」 - YouTube
 さらに、毎日新聞が翌2日の夕方(17:20)の時点でも「アイヌ民族に初の謝罪 日本文化人類学会、不適切な遺骨の取り扱いで」という遺骨問題に特化した記事を僅か266文字の「速報」として後追いで配信した。
mainichi.jp

 昨日(5日)の報道機関への「説明」では、「声明はアイヌの遺骨問題に直接関わるものではない」が、「遺骨問題は文化人類学が関わってきた重要な問題の一つであることは認識している」と真島一郎会長は述べたそうである。
www.youtube.com
そして会見後の日本文化人類学会のホームページには、次の文章が掲載されている。

日本文化人類学会は、4学協会(北海道アイヌ協会、日本人類学会、日本考古学協会、日本文化人類学会)が検討を重ねております「アイヌ民族に関する研究倫理指針(案)」に寄せられたパブリックコメントを契機として、2022年より毎年次の研究大会で特別シンポジウムを開催したほか、年間数度のオンラインシンポジウムの開催や特別サイトの開設を通じ、学会全体で時間をかけて主体的な熟議を重ねてまいりました。その結果として、このたび「アイヌ民族研究に関する日本文化人類学会・学会声明」を発出する運びとなりましたので、ここにお報せ申し上げます。
本声明は、アイヌ民族の方々に対する文化人類学者の過去の研究姿勢を真摯に反省するとともに、学問のありうべき未来に向けた責任の意志表明をめざすものでございます。

 声明を読めば、たしかに「遺骨問題」だけではなくもっと幅広い問題がある。しかし、上の動画の中の「声明はアイヌの遺骨問題に直接関わるものではない」とか、上で引用した「このたび発出予定の声明が、4学協会で目下協議中の案件に直接関わる内容であるかのように」と強調する理由は何なのか。報道機関がそこだけを拡声器で話すがごとくに強調しているのはなぜなのか。

 今日(6日)の道新朝刊に関連記事が載っているが、金子記者は文化人類学会が1日に謝罪声明を発表したという書き方を改めていない!(1日にどこで発表されていたのだろう?誰も目にしていないようなのだが。)
 他方、昨日の記者会見の全容がどのようなものであったのか、会見を見ていないので分からないが、記者たちは、文化人類学会が謝罪しているこれまでの営為の具体的にどのような研究のどこが問題であったのかとか質問したのだろうか。

 道新や毎日、その他の「一部の報道」は、なぜ「遺骨問題」だけを強調しているのか、日本人類学会は、なぜこの時期にこの声明を出したのか、「一部の報道」が報じた「学会の意図」とは異なるという本当の意図とは何なのか。僅か1ページの学会声明文そのものとその背景をきちんと分析しなければならない。

(時間があるときに続く――多分)